理系の最萌え本――「数学ガール/フェルマーの最終定理」

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

数学ガール/フェルマーの最終定理 (数学ガールシリーズ 2)

サイモン・シンの「フェルマーの最終定理」が面白かったのでこちらも読んでみた。

そしてびっくり。とてつもなく面白い。まぎれもないスゴ本だ。


まず登場人物たちが魅力的だ。妹キャラで猫語のユーリ、後輩のドジっ娘テトラちゃん、そして若干ツンデレ気味の才媛ミルカさん。ユーリの「従妹は四親等」発言も可愛かったけど、やっぱりテトラちゃんが一番かなぁ。

次に内容。時計の話から素因数分解、郡や環や体の話、そしてフェルマーの最終定理へと話題が移っていくんだけど、これもすごくわかりやすい。素数指数表現や「互いに素」が「垂直(つまり独立)」であること、「砕ける素数」など、新しい発見もあった。。
さらにこの本が凄いのは、「一緒に学んでいける」というところだ。他の解説書なんかだと、結論への道筋がばっと示されていて、それはそれで美しいんだけど、探検する喜びみたいなのはあまり感じられない。ところがこの本では、まったく予備知識のない人はユーリみたいに「わかんない」ってごねながら、苦手な人はテトラちゃんの視点で、読んでいけばいい。もちろん、紙と鉛筆を脇に置いて。単位円上の有理数の存在証明とか五角形の問題を自力で解けたときは何となく優越感に浸れたし、解けなくて答を読むのはまるで甘いものを逃すような感じだった。

それにしても「僕」が羨ましい。もちろん美少女に囲まれているという点でもだけど、何よりも「学ぶ仲間がいる」というところだ。数学に限らず物理学や哲学なんかでちょっと進んだことを勉強しようとしても、まわりに同じような志を抱いている人なんてまずいない。高校ではなおさらだ。けれども「僕」には仲間がいる。それがたまらなく羨ましい。正直ちょっとだけ嫉妬した。