ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破「YOU CAN (NOT) ADAVANCE」――このまま終わるとは思えない

やっと観にいけた。前から四列目の席。戦闘描写とかテンポとか、どれを取っても素晴らしかった。「傑作」と呼ぶにふさわしい作品だろう。

でも。何だろう。全体を通して、何というか、薄ら寒さが漂ってたような、そんな気がする。

確かに、旧劇場版と比べればかなり「健康的」だったと思う。レイはすっかり人間らしいし、アスカも式波になってヤンデレ要素が抜け落ちた*1。ゲンドウの言動は父親らしくなってるし(計画の一部かもしれないけど)、今回のリツコは不倫してないようだ。人間関係のギスギスしたところは全部改められている。お色気シーンも多いし。

だからこそ、随所に顔を見せる皮肉めいた暗さが気になる。特にラストシーン。
「悲しみのない自由な空へ」なんて旧劇場版が否定したものまんまだし、マリ「都合のいい奴・・・うぅ寒い。ハーックション!」なんて、ご都合主義の展開に対する皮肉としか思えない(北極では平気だったマリが常夏の第3新東京市で寒がるか?)。主題歌では「寝ても醒めても少年マンガ夢見てばっか」。サブタイトルは「YOU CAN (NOT) ADAVANCE」。
そしてトドメがS-DAT。「序」では25-26を繰り返していたシンジのS-DATは、マリ登場と同時に27へ進んだかと思いきや、直後に調子が悪くなる。これは「成長」「進歩」とその先の悲劇を暗示してるのではないか。シンジが自らの意志で捨てたのに、レイが拾ってくるところも不吉だ。

何だかまとまりのない文章になったが、とにかくこのままでは終わらない気がする。「エンターテインメント」を標榜しているとはいえ、庵野監督にはEOEという前科がある。Qでは何がしかのどんでん返しが待ってるんじゃないだろうか。

*1:料理のシーンの「シンジはもっと薄味のほうがいいかしら」というセリフの切なさにはキュンときた。