「巨匠とマルガリータ」―――空気が、炎が、感情が、ゆらめく

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)

巨匠とマルガリータ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)

モスクワに出現した悪魔の一味が引き起こす不可解な事件の数々。20世紀最大のロシア語作家が描いた究極の奇想小説。全面改訳決定版!!

焼けつくほどの異常な太陽に照らされた春のモスクワに、悪魔ヴォランドの一味が降臨し、作家協会議長ベルリオーズは彼の予告通りに首を切断される。やがて、町のアパートに棲みついた悪魔の面々は、不可思議な力を発揮してモスクワ中を恐怖に陥れていく。黒魔術のショー、しゃべる猫、偽のルーブル紙幣、裸の魔女、悪魔の大舞踏会。4日間の混乱ののち、多くの痕跡は炎に呑みこまれ、そして灰の中から〈巨匠〉の物語が奇跡のように蘇る……。SF、ミステリ、コミック、演劇、さまざまなジャンルの魅力が混淆するシュールでリアルな大長編。ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」にインスピレーションを与え、20世紀最高のロシア語文学と評される究極の奇想小説、全面改訳決定版!


ロシア文学っていうと、ゴーゴリとかドストエフスキーとかトルストイとかツルゲーネフとかみたいな、厳かで寒々としたイメージがあるんだけど(ちょうど新潮文庫「父と子」の表紙みたいな)、この「巨匠とマルガリータ」はそんなイメージからかけ離れている。

なんていうか、ハイカラで、鮮やかというか、埃っぽいというか、香水のどぎつい香りがするというか、炎のゆらめきというか、熱にうなされている感じがするというか、ラテンチックというか。

ソ連の体制を批判した勧善懲悪っぽいけど、そうじゃないみたいな。

幻想や虚構と現実が癒着していて、とにかく不思議。そんな小説。


〈リンク〉

wikipedia:ミハイル・ブルガーコフ

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 首が切断されるでしょうwww「巨匠とマルガリータ」

巨匠とマルガリータ|書店員の話